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風まかせの旅において、なによりも重要なのが、荷物を如何に減らすか、ということである。これは本当に死活問題なのである。
旅とは、つまるところ、移動だ。クソ重い荷物なんか持ってたら、気分まかせ風まかせに移動などできやしないのである。
(実は、旅に出た当初から、僕は二度荷物を半分にしている。ということは、今持っている荷物の量は、最初に持っていた量の実に四分の一になっているのだ。)
しかし、音源を持っていかないわけにはいかない。大事な大事な飯の種だからだ。持っていければ持っていけるだけ持っていったほうがよい。荷物の大半を音源が占めることは出発前からわかっていた。
というわけで、今回の音源のパッケージは、「如何に軽くするか?」というのが必須の命題だったのである。その命題を基に、ディレクター斎藤友秋と侃々諤々の議論を交わし、導き出された結論が、「紙ジャケ」であった。・
紙ジャケには数々の利点がある。
まず、薄い。通常のPケースに比べて、幅は3分の1弱、すなわち、Pケース5枚に比べたら、同じスペースで、なんと17枚も収容可能なのである。これは、まったく、大きい差だ。
(左が『グッバイラヴタウン』。右は長谷川健一の『凍る炎』。すごくいい。)
そして、軽い。Pケースと紙ジャケのCDを10枚もったら、紙ジャケの方が軽い。およそそで、3分の1くらいの重さである。これもまた、大きな差であると言わねばならない。
さらに、割れない。『グッバイラヴタウン』はれっきとした商品であるから、ケースが割れてしまっては価値が半減してしまう。前述したが、旅は移動である。移動中、商品が破損してしまっては元も子もない。その点、紙ジャケは割れないのだ。これもまた、大きな差であると言わねばならない。
最後に、渋い。紙ジャケは言わずもがな、もともと、LPを入れていたものだ。モノとしての面白みもあるし、Pケースよりもそこはかとなく気品が漂うではないか。高級感もある。これもまた、大変大きな差であると言わねばならない。
というわけで、僕たちは、『グッバイラヴタウン』のパッケージ仕様を、薄い、軽い、割れない、渋い、と四点揃った紙ジャケで制作することに決めた。
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それから僕たちは、毎日、僕たちが求めるような紙ジャケを安価で作ってくれるような会社をネットで探した。気になる会社のサンプルを取り寄せてはにらめっこする毎日。そんな中、値段も質も満足できそうな会社をみつけた。music jamという会社だった。
発注前、music jamさんとのサンプルのやりとりが少し上手くいかなかったりしたから(紙ジャケにもA式だのE式だの、色々方式があったりする)、大丈夫かなあ~なんて言っていたのだが、旅立ちも差し迫っていたし、値段も安いので、思い切って発注した。で、music jamに電話して、「先程発注した杉山と申しますが」というと、いきなり、「ええー?あはははー」と先方が可愛く笑い出した。おやおやどういうことだ?と思ったら、「杉山さん、私です、Nです」という。なんと、偶然にも、以前、風博士を東京に呼んでくださったイベンターさんで、要するに、知り合いだったのである。
そんな偶然に僕は一気に気をよくして、それからは作業工程の報告や進捗などは、旅先からNさんに写メなどをして楽しんで納品を待つことができた。もちろん、出来上がった製品にも大変満足している。そんな偶然と、しっかり仕事をしてくれたmusic jamのNさんに感謝。これからもよろしくね。
『グッバイラヴタウン』の中身(未開封時はシュリンク包装あり、風博士印なし)
というわけで、『グッバイラヴタウン』の特徴その2、「とことん軽さと薄さにこだわった紙ジャケ仕様」をお届けしました。
[おまけ]
『グッバイラヴタウン』、鞄の中にもたくさん入ってるんだけど、実は、ギターケースにもたくさん入ってます。おまけに写真公開。計18枚。これも紙ジャケだからこそなせる業。
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